ビル・ブライソン『人体大全』
桐谷知未 翻訳
出版社 : 新潮社
全ヒト必読! 30億年の進化の果てにある「奇跡のシステム」その全貌に迫る
ほぼ同じDNAをもつ二人が、何もかも異なるのはなぜか。毎日5個もの細胞が癌化しているのに、なぜ簡単には死なないのか。生命体とウイルスのちがいとはーー。医療・医学の最前線を取材し、7千杼個の原子の塊が2キロの遺骨となって終わるまでのすべてを描き尽くした、全米各紙絶賛のエンタメ・ノンフィクション!
読書猿さん 一生連れ添う小宇宙について私たちはほぼ何も知らないのだ。
仲野徹さん 不覚にも知らなかった。人体がこんなワンダーランドだったとは!
全米各紙が絶賛!
我々は自分の体を所有していない。進化こそが我々の体を所有し、我々はそれを占拠しているだけに過ぎないことをブライソンは明らかにしている……あなたは自分がいかに素晴らしくデザインされていて、なおかつ奇妙なことだらけだと驚くだろう。――『ワシントン・ポスト』
ブライソンの新作は、日常生活を送っている間に我々の体が人知れず行っている何千もの仕事を詳らかにしている。読者は自分たちの体に感謝することになる……ブライソンは知られざるヒーローを見つけ出して書くのが本当にうまい。――『ニューヨーク・タイムズ』
本書のテーマは「進化は往々にしてやっつけ仕事である」ということだ。我々人類はその場しのぎの結果であり、一時的な解決方法と応急措置の産物だということがよくわかる。とはいえ、ヒトはこれまでのところ首尾よくやってきたのであり、それは奇跡的なことなのである。――『ウォール・ストリート・ジャーナル』
第一章 ベネディクト・カンバーバッチの作り方
あなたがあなたでいられる理由/何をしているのかほとんどわからないヒトゲノム
第二章 わたしたちは毎日皮膚を脱ぎ捨てている
皮膚は最高の「センサー」である/皮膚と人種差別/指紋の「万人不同性」の発見/私たちの体は生きた「エアコン」/皮膚微生物という便利な同居人
第三章 微生物との「甘い生活」
人の九割は細菌?/三万年眠り続けたウイルス/抗菌薬の登場/抗生物質と細菌の終わりなき死闘
第四章 脳はあなたそのものである
脳はあなたのすべてである/脳ほどあてにならないものはない/「宣言記憶」と「手続き記憶」/脳と人格は関係があるか/脳が傷つくとどうなるか
第五章 頭のなかの不思議な世界
世界最大の「頭蓋骨コレクション」/「見える」という奇跡/ヘッドホンの使い過ぎにご注意を/嗅覚は私的な感覚
第六章 あなたの「入り口」は大忙し
「食べる」と「話す」と「呼吸する」を同時に行う場所/バスタブ二百杯分の唾液/味覚受容体は口内以外にも存在する/「うま味」の発見/チンパンジーには不可能で、わたしたちしかできないこと
第七章 ひたむきで慎み深い心臓
体内でもっとも「ひたむき」な器官/開胸手術の歴史/血液は何をやっているのか/血液型の発見
第八章 有能な「メッセンジャー」ホルモン
ランゲルハンス島のなぞ/ヒトが過食になりやすい理由/肝臓は数週間で再生する/テニスボール大の結石
第九章 解剖室で骨と向き合う
ヒトは死なないように設計されている/死体が足りない! /骨だって生きている/骨と筋肉と腱の華麗なるコラボレーション/私たちは生涯で二億歩歩く
第十章 二足歩行と運動
二足歩行の代償/旧石器時代の設計と飽食の時代
第十一章 ヒトが生存可能な環境とは
ヒトはワニのひと月分の食糧を毎日食べている/ヒトが居住可能なのは地球の全表面積の四パーセント/アメリカに提供された七三一部隊の研究成果
第十二章 危険な「守護神」免疫
侵入者から体を守る頼もしい味方/臓器移植と拒絶反応/アレルギーという負の側面
第十三章 深く息を吸って
大気汚染は喘息の発作を起こすが発生の原因ではない/タバコメーカーと医学会の熾烈な戦い/六十八年間しゃっくりし続けた男
第十四章 食事と栄養の進化論
ヒトの進化と調理の関係/ビタミンとミネラルの発見/タンパク質/炭水化物/脂肪/飢餓よりも肥満に苦しむ人が多い時代/塩をめぐるパラドクス
第十五章 全長十二メートルの管で起きていること
胃は過大評価されている/胃に穴があいたままの男/薬剤師であるというだけで開腹手術をさせられた男
第十六章 人生の三分の二を占める睡眠のこと
クマは「冬眠」しているのではなく「休眠」している/睡眠中の方が活発に活動する前脳/「体内時計」という発見/睡眠不足がわたしたちにもたらすもの
第十七章 私たちの下半身で何が起きているのか
消えゆくY 染色体/セックスという優れた「生存戦略」/すべての人類の祖先が女性である理由/誤解まみれの生殖器
第十八章 命の始まり
極端に非効率なヒトの生殖/母になることとあの世に行くこと/進化の代償としての難業
第十九章 みんな大嫌いだけど不可欠な「痛み」
どのように痛みを数値化するか/よい痛みと無意味な痛み
第二十章 まずい事態になったとき
どこからともなく現れ、消えていくウイルス/感染症は畜産の発達の副産物である/一番危険なのは進化のはやいインフルエンザ
第二十一章 もっとまずい事態(つまり癌)になったとき
がんは「許可なき自殺」/麻酔なしの切開手術/母親の腹部に放射線をあたてみた医師と物理学者の兄弟
第二十二章 よい薬と悪い薬
盗まれた栄誉/長生きしたければ金がいる/健康な人とは「まだ検査を受けていない人」のこと/過剰医療で得をするのは誰か
第二十三章 命が終わるとはどういうことか
「人を死なせるのはライフスタイル」という時代/わたしたちの寿命は細胞にプログラムされている/人が百十歳まで生きる可能性は七百分の一/アルツハイマー病にお手上げ状態/人が死んだあとに起こること
(出版社より)