中村明一『日本音楽の構造』
出版社 : アルテスパブリッシング
ロングセラー『倍音』『「密息」で身体が変わる』の著者が、
日本音楽の根源的な価値に迫る!
長年の研究を集大成した日本音楽論の決定版!
古今の伝統音楽・芸能、各地の民謡から現代のJ-POPまでをとりあげ、
「倍音」「密息」に加えて「微小音量」「微小変化」「リズムの自由性」
「言語性・音響性」「間」などをキーワードにした方法論で分析。
過去・現在のあらゆる日本音楽を貫く構造を解き明かす。
人類の未来を照らし出す「日本の音楽」の宇宙を巡る壮大な旅へ!
付論として「密息」「倍音」「音階論」「リズム」を収録。
詳細な索引も完備。
──本書第1章「1─日本音楽の価値」より
じつは日本の音楽は、世界で最も特殊な音楽です。ここで言えることは、即座には分かりにくいものを扱っているということです。したがって、今までなかなか分析されてきませんでした。
言い換えれば、他の国の音楽と少し異なったシステムを持っているということです。「倍音」や自由なリズムの枠組みに重きを置いた音楽であること。「音楽・言語・音響」が一体となっていること。したがって、この現実世界から取り込んだ複雑な音響を扱うこと。それらは無意識の部分に影響を及ぼします。
自然と文化を統合し、過去と未来を結びつけ、さらにイメージの世界と現実の橋掛けとなるものと言えるでしょう。
最終的には人間のコミュニケーションの、そして世界と関わるためのツールとして、これからの日本人の生き方に、さらには人類の進むべき方向に大きく関わってきます。
そういった意味では、日本の音楽は人類にとって未来の音楽とも言えるのです。