金子親一『READYMADE』
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出版社:青幻舎
静物写真のスペシャリスト、写真家・金子親一が、世界各地から集めたプラスチック容器を独特なライティングで撮影したシリーズ。
撮影の方法論としては、強い光を当てつつ、フィルターワークでマットに仕上げる手法を用いて、表層のハレーションを極限までなくすことで、通常は見えない姿や佇まいを浮かび上がらせています。
プラスチック製品は世界20都市から集めています。多くの都市に自ら足を運び、郊外型の大型スーパー、DIYセンター、街中の中型スーパーなど数店舗をめぐって、面白い形のボトルを探したといいます。
レディ・メイドとは、マルセル・デュシャンが提唱した現代アートの概念で、工業製品をモチーフとした一連の作品群を指し、「徹底した趣味の欠如」ないし「視覚的な無関心」と定義されています。それに対し金子の場合は既製品に「新たな物語を発見」するという試みです。
「READYMADE」のシリーズは、ライティングを決め、撮影物をゆっくり回し、カメラの高さを調整し、物の陰影を見極めるという手順を踏みます。そのプロセスは詰将棋に似ているといいます。
そうやって対象の個性を最大限に引き出した時、プラスチック容器は本来の役割を超えた別の存在として、見る者の前に立ち現れるのです。