佐川恭一『終わりなき不在』
出版社:ネコノス
もはや入手不可能とされていた幻の作品を待望の文庫化。
就職した銀行を一年で辞め、仕事も恋人も失った自堕落な青年は小説家を目指す。その果てに何が待っているかも知らずに……。「文章を書くためだけに脳をカスタマイズされ他の能力を全てスポイルされた俺という怪物の書く小説が、なぜ他者の作品に劣るのか?」
迷走する自意識、崩壊するモラトリアム。これは悲劇か? それとも喜劇なのか? 泣いた方がいいのか? 笑っていいのか? 渦巻くような自意識の階層構造に、やがて読者の意識も翻弄されていく……。
いま文芸界で熱い注目を集めている才能の一人、大人気カルト作家・佐川恭一の原点がここにある。第3回日本文学館出版大賞ノベル部門大賞受賞作。(出版社より)