【サイン本】小島康敬『中今 | ベルリン』

【サイン本】小島康敬『中今 | ベルリン』

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出版社:roshin books

これまで小島が発表してきたニューヨーク、東京に続く、都市を写し出すシリーズの3都市目。本作の舞台はドイツ・ベルリンである。2015年から2025年までの10年間、現地に身を置き、この都市と対峙し続けた記録がここに収められている。

ベルリンは、先行する二都市に比べ人口規模こそ小さいが、旧東ドイツ時代の都市計画を色濃く残す広い道幅や建築構造が、街に独特の大きなスケール感を与えている。どこまでも均質で、揺るぎない強度を持つ街。その質感に向き合う中で、次第に浮き彫りになったのは、この都市に流れる静かで緩やかな時間だった。

本作の核となるのは、ベルリン特有の建築構造が生み出す「Hof(中庭)」である。建物がマトリョーシカ状に2重3重と重なり、その隙間にひっそりと佇む中庭。内でも外でもないその場所では、過去も未来も輪郭を失い、ただ“今”だけが鮮明に浮かび上がる。自己と他者の境界さえ曖昧にするその空間は、古神道の時間概念である「中今(なかいま)」と静かに共鳴する。(ハードカバー/270mm x 225mm/88ページ)