アルフォンソ・リンギス『わたしの声 一人称単数について』
水野友美子 小林耕二 訳
出版社 : 水声社
こだまするリトルネロ
ことばによって、来るべき未来の幻に身をゆだね、計算や利害の支配する世界と訣別すること――。哲学、言語学、人類学、精神分析を横断しながら、かけがえのない〈わたし〉の存在をめぐる旅へ。
《わたしたちはひそかに、自分たちにはだれかのために差しだすキスや配慮があることを知っている。世の恋人たちがいまだかつて差しだしたことのない、優しさや興奮があることを知っている。わたしたちは高揚のなかで、いまだかつてだれも踊ったことのないダンスを踊れるよう自身の身体を鍛え鼓舞するだけの、強靱さと精神を持ち合わせていることを確かに感じとる。心のなかで、自分たちには革命にともなうあらゆる危険、失敗、残忍さに耐える心情や度胸があることを感じている。》(本書より)(出版社より)