【特典あり】濱田英明『Haru and Mina』
店頭でも販売しているため、タイミングによっては売り切れの場合がございます。あらかじめご了承ください。
出版社:青艸堂
特典:ポストカード
本作は2009年7月から2020年4月までの約11年間に撮影した8000余点の中から濱田さん自身が313点を厳選し、504ページに収めた作品集となります。
淡々と綴られるのは、終わりがないように見える二人の子どもの平凡な日常。瞬時に忘れ去られてしまうようなありきたりの光景は、何度もめぐる春夏秋冬とともにゆっくりと穏やかに流れ、しかしそれはいつか訪れる別れに向かって進んでいきます。
時系列で並ぶ作品の根底に横たわるのは「人と人が共に過ごす時間の儚さ」。それがいかに普遍的な体験として受け止められ、「誰か別の人のもの」になっていくかが、本作の主軸となっています。
撮影に使われているのはPENTAX67 IIと標準レンズ。カメラの特性を活かし、子どもに近づきすぎることなく、客観的な視点を持った絶妙な距離感が一貫して保たれ、それが濱田特有の淡い光と相まって、独特の世界観を描きだしています。
どこかで誰もが見たことのある景色。それは心のずっと奥の方にある大切な何かを呼び覚ます不思議な感覚を鑑賞者にもたらし、気がつけば、うっすらと朧げに脳裏に残る遠い日々に心地よく耽溺するかのように、引き込まれていく。
写真を撮って記憶を残す。時間をいまに呼び戻す。その行為の本質にあるものを、この作品集は静かに物語っています。