『エクリヲ vol.14』
――現代は「Re」の時代である。
人々は時代の閉塞感のなかで、自らが常にある周期(cycle)で何かを繰り返していることにかつてなく自覚的になっている。文化においては、リバイバル(revival)、リメイク(remake)、リブート(reboot)など、過去の栄光を元手にした商売に依存し、新しいものを見出すことに背を向けている。一方政治や経済においても、資源やエネルギーの再生可能性(renewability)を求める傾向の高まりや、国際的な闘争状況の再開(resume)など、「Re」の問題はつきまとう。
本特集では、あらゆるものが繰り返され、再利用(recycle)される現代のカルチャーや政治・社会的状況を再考する。このように蔓延する「Re」を否定するのではなく、様々な観点から問題化し、論じることによって、閉塞した状況に新たな解釈と批評的な視座を与える。多角的な方面から「Re」への思索を試みる7つの論考と、現代を象徴するような「Re」にまつわる音楽、アート、建築、書籍など様々な対象を取り扱う10のコラムを収録する。
【CONTENTS】
Column
現代文化を再考するための10のRe: コラム
- 柴崎祐二編著『シティポップとは何か』/Revival
- The Caretaker『Everywhere at the end of time』/Remember
- 加藤耕一『時がつくる建築』/Renovation
- Midjourney Inc.「Midjourney」/Regeneration
- 指差し作業員《ふくいちライブカメラを指さす》/Reflection
- Jeff Potter『Cooking for Geeks:[第2 版]』/Recipe
- 塚田有那、高橋ミレイ編著『RE-END』/Reend 92
- 信田さよ子『家族と国家は共謀する』/Resilience
- 三木那由他『会話を哲学する』/Retain 114
- 桜庭一樹『少女を埋める』/Review
Critique
横山 タスク
応援(Reinforce )と避難所( Refuge )――『プロジェクトセカイ』を通して見る現代の応援文化/Reinforce, Refuge
勝田 悠紀
アディクティヴな父――『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』におけるグリンデルバルドの秘密/Reflexivity
楊 駿驍
Re-Verse 世界の再─詩化/Reverse
高井 くらら
Re: Revengers――「Re」で読む『東京卍リベンジャーズ』/Revenge, Regret, Respect, Retribution
山内 志朗
冗長性について/Redundancy
戸谷 洋志
「悪の愚かさ」への抵抗――「責任 Responsibility」の再考/Responsibility
横山 宏介
追想、あるいは偽物(レプリカ)/Reminiscenc
◆特集外コンテンツ
Critique Book Review
『痙攣 Vol.01』、『痙攣 Vol.02』
『奇想同人音声評論誌 空耳』