Event Report
「月刊総務と考える オフィスでの読書活用」
ブックラウンジ導入6社が集った交流会
『月刊総務』戦略総務研究所 所長・豊田健一氏をモデレーターに、
共通課題を持ち寄り、他社の知恵に学ぶ
開催日 : 2026年5月22日(金)
主催 : 青山ブックセンター外商部
企画・運営協力 : 株式会社U'eyes Design
6社
ブックラウンジ導入企業が
参加
11名
総務・人事・広報など
各社ご担当者が集結
3班
グループに分かれ
本音のディスカッション
開催概要
今回は、これまでのセミナー形式から一歩進め、交流会形式で実施しました。『月刊総務』戦略総務研究所 所長・豊田健一氏をモデレーターとしてお迎えし、実際にブックラウンジを導入している6社のご担当者様11名が一堂に会しました。各社の運用実態をテーブルに並べ、業種も規模も異なる他社の取り組みから互いに学び合う、充実した時間となりました。企画・運営は青山ブックセンターと株式会社U'eyes Designが共同で担当しています。
当日の式次第
| 15:45 |
受付開始・名刺交換 参加者同士の自由な交流 |
|---|---|
| 16:00 | 開会・全体の流れ説明 |
| 16:05 | 豊田氏より 趣旨とねらい |
| 16:10 |
各社ブックラウンジ紹介(6社分) 青山ブックセンター担当者(佐野・須藤)より各社の導入状況を紹介/各社担当者よりコメント・質問 |
| 16:55 | 休憩・名刺交換 |
| 17:00 |
グループディスカッション(30分) 3グループに分かれ、運用の工夫と悩みを共有 |
| 17:30 |
豊田氏より講演(30分) 「戦略総務」の視点から、ブックラウンジ運用のヒントを解説 |
| 18:00 | 閉会・交流(15分) |
ゲスト紹介
豊田 健一(とよだ けんいち)
戦略総務研究所 所長/『月刊総務』前編集長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルートで経理・営業・総務を経験後、株式会社魚力で総務課長を歴任。日本で唯一の総務部門向け専門誌『月刊総務』前編集長、株式会社月刊総務代表取締役社長を歴任。現在は戦略総務の専門家として、講演・執筆・コンサルティング活動を通じ、総務を「コストセンター」から「バリュークリエイター」へと転換する実践知を広めている。
経営を強くする戦略総務
豊田健一 著/日本能率協会マネジメントセンター
社内活性化、モチベーションの向上、ロイヤルティの向上。「総務が変われば、会社が変わる」という言葉の通り、厳しい競争に勝ち抜くための「戦略」を解説。
戦略総務 実践ハンドブック
豊田健一・金英範 著/日本能率協会マネジメントセンター
リモートワークとコミュニケーション、DX、リスク管理など、総務担当者が関わる幅広い領域を網羅した実践的ハンドブック。
開催の背景——「使われない本棚」の悩みを、共に解く
青山ブックセンターがブックラウンジの導入サポートを始めて15年。選書・定期的な更新・買取によるリフレッシュという仕組みを整えていますが、「限られた人しか利用してくれない」「本棚にどう人を呼び込めばよいかわからない」といった声は、導入後しばらく経った企業様から共通して寄せられます。
一方で、「うちではこんな工夫をして活性化できた」という事例も、担当者間ではなかなか共有されません。企業の垣根を越えて、ブックラウンジを「運用している人たち」が本音で語れる場を――その思いから、今回のワークショップが生まれました。総務部門の実態と課題を誰よりも深く知る豊田氏に加わっていただくことで、議論に厚みと高い解像度をもたせることができました。
各社ブックラウンジ紹介——佐野・須藤より
グループディスカッションに先立ち、まずは青山ブックセンターの佐野・須藤から、参加6社それぞれのブックラウンジの導入状況と運用の様子をプレゼン形式でご紹介しました。続いて各社ご担当者からも「自社の特徴的な取り組み」「利用活性化のためにトライしていること」という声を添えていただきました。業種も規模も異なる6社の現場が並ぶことで、参加者は開始早々から「うちと同じ悩みがある」「あちらの企業さんはもう一歩先を行っている」という気づきを得ていました。
グループディスカッション
3グループに分かれた、グループディスカッション形式
参加者11名は3つのグループに分かれ、それぞれの卓で自社のブックラウンジ運用にまつわる悩みや取り組みを率直に持ち寄りました。各グループには青山ブックセンターまたは株式会社U'eyes Designのファシリテーターがつき、議論を整理しながら場を深めていきました。
グループ A【青山BC 佐野】
青山ブックセンター 佐野がファシリテーターを担当。各社担当者4名で構成。
グループ B【青山BC 須藤】
青山ブックセンター 須藤がファシリテーターを担当。各社担当者4名で構成。
グループ C【U'eyes Design】
株式会社U'eyes Design(小宮山・武曾)がファシリテーターを担当。各社担当者3名で構成。
浮かび上がった「共通の悩み」
グループディスカッションで真っ先に出てきたのは、業種・規模を問わず多くの企業に共通する課題でした。「うちだけじゃないんだ」と参加者が顔を見合わせる場面が続いたのが印象的です。
01
認知と導線の課題
「本棚があることを社員が知らない」「導入フロアと違う階の人は素通りする」といった、まず「存在に気づいてもらえない」悩みが多数共有された。
02
継続利用の息切れ
「最初の1〜2カ月はにぎわったが、その後は静かになってしまった」。仕掛けなしに自走する運用の難しさが全グループ共通のテーマとして浮上。
03
担当者の孤独感
「社内で評価されにくく、続ける根拠を示しにくい」「ひとり担当で相談できる人がいない」という声が複数社から上がり、共感の声が続いた。
他社の取り組みから学んだこと
「やってみたら効いた」工夫のシェアリング
悩みを共有するだけでなく、「実際に試してみたら手応えがあった」というアイデアも次々と挙がりました。他社の実践例は、参加者にとって即日持ち帰れるヒントとして機能しました。
当日共有された「効いた」取り組み(各社の声より、匿名でご紹介)
▸ 社員の移動導線上に本棚を配置。会議への移動中にチラっと目に留め、後からゆっくり読む姿が見られた。
▸ 社長や上層部だけでなく一般社員のオススメ本をPOP付きで紹介。部長と若手社員が同じマンガ好きということがわかり共通の話題が生まれた。
▸ 朝礼で「先週読んだ本」を1分シェア。読んだ人が自然と増え、その本が次の週に動く。
▸ 新入社員の配属時にブックラウンジを案内コース化。入社直後に「使い方」を伝えることで、定着率が上がった。
▸ 読み終えた本に付箋でひと言メモを貼る文化づくり。本棚が「対話の場」になり始めた。
豊田氏による講演——「戦略総務」の視点から
グループディスカッション後に、豊田氏にご講演いただきました。「ブックラウンジにかかわらず、総務施策全般に共通する本質的な問いがあります。施策は「導入」より「運用」で8割が決まる。そして運用を支えるのは、仕組みではなく担当者の「意味づける力」です」。各社の卓で交わされていた会話と重なり合い、参加者の多くが感じていた「なんとなくうまくいっていない感」が言語化された瞬間でした。
また豊田氏は、「今日のように異なる会社の担当者が本音でつながれる場は、実は非常に重要」とも話されました。会社の垣根を越えて課題と工夫を持ち寄ることで、一社ではたどりつけない視点が生まれる――そのこと自体が、この日最大の収穫だったかもしれません。
総務の仕事は「成果が見えにくい」と言われますが、ブックラウンジはまさにその典型。
だからこそ、意味を語れる担当者が場の価値をつくるんです。
―― 豊田 健一氏
豊田氏が指摘した、運用を変える「発想の転換」
ワークショップを通じて豊田氏が繰り返し強調されたのは、「ブックラウンジを"本を置く場所"と捉えている限り、活性化は難しい」という視点です。以下は、当日参加者の心に刺さった豊田氏からの主な指摘です。
01.「使われない」は設計の問題
本棚の前に人が来ない原因を「社員の意識」に求めるのは間違い。動線・可視性・タイミングという設計の問題として捉え直すことが第一歩。
02. ゴールは「読む」ではなく「話す」こと
本は話題のきっかけ。「この本読んだ?」という会話が生まれた時点で、ブックラウンジはすでに成功している。読了率より会話の発生数で成果を測る発想を。
03. 担当者の「推し力」が9割
仕掛けより人の力。担当者が自ら「この本、面白かった」と言い続けることが、最も効果的なプロモーション。社内を説得する施策を育てるのは熱量だと豊田氏は断言。
04. KPIは幅広い視点で設定する
「何冊貸し出されたか」だけでKPIを測るのは狭すぎる。コミュニケーションの活性化・定着率・エンゲージメントなど、ブックラウンジが影響しうる大きな視点で成果を捉え直すことが、施策を長続きさせる。
05. 運用に「ストーリー」を持つ
「なぜ、この本棚があるのか」を語れる担当者がいる職場は、ブックラウンジが根づく。パーパスや会社の方向性と本棚をつなぐ物語を言語化することが重要。
06.「小さく試して見える化」する
大きな施策より、1冊のPOP、1回の朝礼コーナー。試したことの反応を記録し、社内に小さな成功体験を積み上げていくことが継続の土台になる。
07. 関係する人を増やす、場を育てる
担当者一人が抱えるのではなく、巻き込める人を少しずつ増やす。今日の参加者のように、社外にも「知っていてくれる人」を持つことが、長く続けるための精神的な支えになる。
担当者が変わっても続く仕組みをつくること。
そして、ブックラウンジの"意味"を語れる人を社内に増やしていくこと。
それが持続の鍵です。
―― 豊田 健一氏
「本のある場」を、ともに育てていくために
今回のワークショップで改めて感じたのは、ブックラウンジの「運用」に悩んでいる担当者が、決して少なくないということです。そしてその悩みは、少し視点を変えるだけで、見え方がまったく違ってくる。豊田氏の言葉とご参加いただいた各社様の実践が、それをはっきりと示してくれました。
青山ブックセンターが届けるのは、本だけではありません。書店ならではの選書力とランニングサービス・買取リフレッシュの仕組みで「使われ続ける本棚」を支えながら、今回のように導入企業の担当者同士が課題を持ち寄り、互いの工夫から学べる場を、これからもつくり続けて参ります。1回限りの勉強会で終わらせず、参加するたびに自社の運用がアップデートされていく――そんなシリーズにしていきたいと考えています。
企画協力のU'eyes Designは、人間中心設計の視点から、ブックラウンジにまつわる企業の課題解決を支援しています。「本棚は導入したが、なぜか使われない」「どんな選書が自社に合うのかわからない」「コミュニケーション活性化につなげたいが、何から手をつければいいか」――そうした問いに、従業員の行動や体験を起点に丁寧に向き合います。設置後の運用設計や社内での意味づけのサポートも含め、ブックラウンジを"育てていく"プロセスに伴走します。
ご参加いただいた方々の声(抜粋)
部署の特性上、他社の総務担当者と直接意見交換を行う機会が限られている中、本ワークショップは非常に有意義かつ貴重な機会となりました。他社事例の紹介およびディスカッションを通じて、多くの気づきや示唆を得ることができたため、今後の自社運用に活かしていきたいと考えております。
他社のサービス事例や工夫点、苦労していることなどを共有することができました。特に、豊田さんの講演で学ぶことが多かったです。
ライブラリーにテーマが絞られていて、より深い会話ができた。
他グループの他社様ともお話してみたいなと思いました!月刊総務の豊田様のお話もまた伺ってみたいです。
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「この記事を読んで、うちも興味を持った」「ブックラウンジの運用を見直したい」
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