
【3/ 27 (木)】『未完の建築』(みすず書房)刊行記念トークイベント
松隈洋 × 島田潤一郎
「本のある空間をめぐって-前川國男、前川恒雄、鬼頭梓の仕事」
申込みの前に必ず参加規約をお読み下さい。
お申し込みはこちら
日程 | 2025年3月27日 (木) |
時間 |
19:00〜20:30 開場 18:30〜 |
料金 | 1,650円(税込) |
定員 | 100名 |
会場 | 本店 大教室 |
ル・コルビュジエに学び、「人間にとって建築とは何か」を問いつづけた、20世紀の日本を代表する建築家・前川國男。その戦後のあゆみを描いた『未完の建築』(みすず書房)の刊行を記念したトークイベントです。著者で最晩年の前川に師事した建築史家の松隈洋さんと、ひとり出版社・夏葉社の島田潤一郎さんをお招きし、「本のある空間」をめぐってお話しいただきます。
松隈さんによれば、前川國男の戦後は小さな木造の紀伊國屋書店の設計から始まりました。その後、神奈川県立図書館や国際文化会館・図書室、国立国会図書館など大きな公共図書館を手がけていきますが、そこには一貫して「大らかに人を招き入れ包みこむ」空間が実現されているといいます。
また前川事務所のスタッフとしてこれらの設計を担当した鬼頭梓は、独立後、日野市立図書館・館長の前川恒雄と出会い、誰でも自由に手に取り本を借りることのできる戦後型図書館のさきがけ、日野市立中央図書館を前川とともにつくりあげたそうです。
そして島田さんは、前川恒雄の『移動図書館ひまわり号』の復刊、遺稿集『未来の図書館のために』の刊行をとおして、前川の思想を高く評価し、鬼頭梓の建築にも大きな関心を寄せています。
そんなふたりが、前川國男と前川恒雄、鬼頭梓の仕事を通して「本のある空間」をめぐり、静かに語り合う90分です。
プロフィール

松隈洋 まつくま・ひろし
1957年兵庫県生まれ、1980年京都大学工学部建築学科卒業、1980-2000年前川國男建築設計事務所勤務、2000-2023年京都工芸繊維大学助教授・教授、2023年-神奈川大学教授。専門は近代建築史、建築設計論。主な著書に『建築の前夜 前川國男論』(みすず書房、日本建築学会賞(論文)受賞)、『ル・コルビュジエから遠く離れて』(みすず書房)、『モダニズム建築紀行』(六耀社)など。文化遺産としてのモダニズム建築20選展、同100選展、前川國男、レーモンド、坂倉準三、吉村順三、村野藤吾、丹下健三、大高正人、鬼頭梓などの建築展に携わる。

島田潤一郎 しまだ・じゅんいちろう
1976年高知県生まれ、東京育ち。日本大学商学部会計学科卒業。アルバイトや派遣社員をしながら小説家を目指す。2009年、出版社「夏葉社」をひとりで設立。「何度も、読み返される本を。」という理念のもと、文学を中心とした出版活動を行う。著書に『あしたから出版社』(ちくま文庫 2022)、『古くてあたらしい仕事』(新潮文庫 2024)、『本屋さんしか行きたいとこがない』(同 2020)、『父と子の絆』(アルテスパブリッシング 2020)、『電車のなかで本を読む』(青春出版社 2023)『長い読書』(みすず書房 2024)がある。
書籍情報

『未完の建築 前川國男論・戦後編』
著者:松隈洋
判型 A5判 頁数 680頁 定価7,480円(本体:6,800円)
ISBN 978-4-622-09740-2 Cコード C1052
発行日 2024年12月2日
発行 みすず書房
敗戦直後の木造プレハブ住宅プレモスにはじまり、新宿の紀伊國屋書店、慶應義塾大学病院、国立国会図書館、東京文化会館、東京海上火災ビル、弘前での建物群はじめ日本各地の美術館・市民会館など数々の建築の設計を手がけてきた前川國男(1905-1986)。高度経済成長、東京オリンピック、大阪万博、ポストモダンの時代の渦中にあって、ル・コルビュジエの精神を継ぎ、根源に立ち戻って「人間にとって建築とは何か」を問いつづけた前川は、派手な建築世界から距離をおき、その姿勢や思想は晩年の建築群に刻まれていく。
「私は、今日ある意味で一番えらい建築家というのは、何も建てない建築家だと、そういう逆説の成り立つそういう時代じゃないかと時々思います」とまで語った前川にとって、建築とは何であったのか。前川自身のことばや関係者の発言、当時の資料を駆使して、その人と作品と社会と時代を鮮やかに描き切った渾身の力作である。
『建築の前夜 前川國男論』(2016)を継ぐ、前川國男の仕事の戦後編。