
真崎嶺『サラリーマンはなぜサーフボードを抱えるのか?』
出版社:Bathboys湯
日本のデザイン業界における構造的な白人至上主義と西洋化の歴史と文脈について、日英バイリンガルで書かれた一冊。
「こんにちは、日系アメリカ人のグラフィックデザイナーの真崎嶺と申します。2017年に日本のルーツとのつながりを深めるためにニューヨークから東京に引っ越したとき、日常生活の中で目撃したいくつかのことに疑問を持ち始めました。例えば、
日本の広告には、なぜ白人や欧米人のモデルが多いのか?
どうして商品のパッケージやアパレルに間違った英語がたくさん使われているのか?
ブラックフェイスや人種的ステレオタイプのような非常に不快なものがどのように常態化され、メディアでよく見られるようになったのか?
単に疑問を持つだけでなく、実際に答えを調べることになったきっかけはジョージ・フロイドの殺害を受けて2020年5月に復活したブラック・ライヴズ・マターの抗議運動であり、率直に言えば、日本で人種差別についての議論がされないことへの違和感でした。黒人差別の問題を日本人に説明する資格はぼくにはありませんが、このムーブメントをサポートするためにできることは、日本が持つバイアスについて、個人的な経験から書くことだと思いました─それは主に、日本のデザイン業界に関するものです。この本では、個人的なエピソードや意見、マスカルチャーや広告の例などを組み合わせ、さまざまな書籍や論文、研究資料を用いて展開しています。
ぼくの考えでは、日本は他国の文化を盗用することで利益を得てきましたが、それを生み出したシステムや文脈には関与せず、構造的な白人至上主義に加担してきた部分があります。この本で目指しているのは、日本のクリエイターが自分の判断やバイアスに疑問を持ち始め、自身やチームの仕事により責任を持てるようになり、みんなで問題提起をするためのきっかけになることです。
主な読者層は日本人と日本在住の方ですが、他の方にも価値を感じてもらえればと思います。この本では、日本における人種差別の歴史と戦後の西洋化の文化的影響を探求していますが、本書の考えは日本に限ったものではないと思います。世界がよりグローバル化され、つながり合うにつれて、誰もがオープンマインドを持って、人種とインクルージョンの問題に立ち向かうことが必要になってきます。」出版社より