
梨木香歩『鳥と雲と薬草袋/風と双眼鏡、膝掛け毛布』
出版社:新潮社
いつか旅した土地の名まえ。そして、それにまつわる物語。
地名をめぐるエッセイ『鳥と雲と薬草袋』『風と双眼鏡、膝掛け毛布』合本版。
「土地の名まえ」の背景には、いつも物語がある。そこに暮らす人々の息遣いがある。峠や湖川など、地形に結びついた名まえ。植物や動物に由来する地名。街道や国境など人の営みをめぐる地名。音やまなざしから付いた名まえ。消えてしまった地名、新たに生まれた地名……。空を行き交う鳥や風のように伸びやかに、旅した土地の名まえから喚起される思いを綴る、二作の葉篇随筆を合本した文庫版。