
西崎憲『本の幽霊』
出版社:ナナロク社
電子書籍で生まれた「1篇」が、奇妙で美しい「本」になりました。 多岐にわたる活動で知られる作家・西崎憲の本にまつわる短篇集です。
【収録作】本の幽霊/あかるい冬の窓/ふゆのほん/砂嘴の上の図書館/縦むすびの ほどきかた/三田さん、全6篇
【あとがきより01】 「ふゆのほん」はまず電子書籍で刊行された。それが今回紙の本に転移したわけであ るが、物語が電子と紙を往還することにはすこし心躍るところがある。(ほかの5篇 は)紙への移行の過程で自然に生まれてきた。本が登場するものが多いので本にかん する本ということになるかもしれない。
【あとがきより02】 しかし作者や編集者とちがって本は孤独ではない。本を手にする読者も孤独である が、ひとり本だけはつねに孤独ではない。本はいつも流れのなかにある。本とはどこ かからどこかへ向かうものであり、向かう場所があるということは孤独ではないの だ。(出版社より)