小指選 宮地尚子『環状島=トラウマの地政学 新装版』

小指選 宮地尚子『環状島=トラウマの地政学 新装版』

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出版社:みすず書房

戦争から児童虐待にいたるまで、トラウマをもたらす出来事はたえまなく起きている。
「言葉では表現しようのない」この出来事は、それでも言語化されていった。しかし、
言葉にならないはずのトラウマを伝達可能な言語にするという矛盾は、発話者をも
聞く者をも揺るがせる。「なぜあなたが(もしくはこの私が)その問題について語ることができるのか」「もっと悲惨な思いをした人はたくさんいるのではないか」にはじまる問いは限りなく、お互いの感情を揺さぶり、自身を責めさいなむ。

「だからここで考えてみたい。トラウマについて語る声が、公的空間においてどのように立ち現れ、どのように扱われるのか。被害当事者、支援者、代弁者、家族や遺族、専門家、研究者、傍観者などはそれぞれどのような位置にあり、どのような関係にあるのか」

前著『トラウマの医療人類学』を継ぐ本書で、著者は「環状島」をモデルに、加害者も含め、トラウマをめぐる関係者のポジショナリティとその力動を体系的に描いた。
〈内海〉〈外海〉〈斜面〉〈尾根〉〈水位〉〈風〉などの用語を駆使しながら、トラウマをめぐる全体像とあるべき方向性をしめした初めての試みである。関係者のみならず、クライアントと日々を共にする医師であり、マイノリティ問題にかかわる研究者である著者自身にとっても、本書は実践と倫理のための道標になるだろう。
[2007年12月初版](出版社より)


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