社員が主体的に決めていくこれからの「働き方」と オフィスにおけるブックラウンジの活用

今回は、東京都港区・芝公園にあるオリックス銀行本社ビルをお訪ねして、総務人事部の宮内様と廣居様に「オフィスリニューアルにあたって導入いただいた青山ブックセンターの ブックコンサルティングサービス(選書サービス)」についてお話をお聞きしました。

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総務人事部総務チーム長
宮内 美由紀様
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総務人事部
廣居 順子様

冒頭のまとめ

◇選書サービス導入目的:自己啓発とリフレッシュ

◇ご利用いただいたサービス:共用スペース本棚への選書サービスと、雑誌を定期的にお届けするランニングサービス

◇選書サービス導入後に感じている効果:

  • 共用スペース雰囲気の向上
  • 雑談の誘発とコミュニケーションの活性化
  • 社員の働く時間のメリハリづけ
  • 休憩時間のリフレッシュ効果

宮内様 廣居様へのインタビュー


―今回は青山ブックセンターからサービスの紹介をさせていただいたのがきっかけになったわけですが、もともと本を置くことは決めていらっしゃったのでしょうか。

宮内様:
もともとオフィスリニューアルのプロジェクトメンバーと話し合っている中で、ラウンジ に何があったらいいかを考えていました。 「リラックスして雑誌を読みたい」といった声や、「自己研鑽をしたい」という話があがり、ライブラリーを設置することを決めました。 しかし、何を置くかというところまでは全然手が回っていない状態で……。最終的には、買えば何とかなると思ってはいたのですが、これほどの種類の本はとてもではないですが揃えられなかったと思います。


―選書サービスの本が設置されての印象はいかがでしたか。

宮内様:
視覚的にも癒され、表紙の絵だけでもリラックスできるものを選んでいただいたと思います。全体的にバランスがよく想像以上に素敵な空間になったなと思っています。

廣居様:
選定内容のバランス、空間が華やかで上質になります。


―ご利用されている方々の様子やご利用状況で気づいた点があれば教えてください。

宮内様:
お昼の時間帯にゆっくり座って本を読んでいる人をよく見かけます。 今まではこのようなラウンジがなかったので、コーヒーを飲みながら本を読むということができませんでしたが、社員にとって、ずっと仕事をしている中で、ちょっと息をつく時間が作れているのではないかな、と感じています。
各フロアにもライブラリーを設けていますが、そこには各部署の専門書を置いており、ラウ ンジとはまったく違うタイプの本なので、メリハリがついてすごく良いと思います。
リニューアル前は、休憩スペースは狭く、話し声も響いてしまうようなところだったのでリラックスできていなかったと思います。ただお昼を食べるためだけの空間で、いつ行っても シーンとしているようなスペースでした。現在は適切なディスタンスも確保したうえで食事をしている様子が見えたり、他フロアや隣のビルからの利用者と「久しぶりに会ったね」 という会話が聞こえてきたりします。そういったところから、コミュニケーションは今まで以上に図れているかなと思います。以前はフロアが違うと顔を見かけないこともありましたが、ここに来ればいろんなフロアのメンバーに会えるようになりました。


―最後に、今回のオフィスフロアリニューアルを通して、「オフィス」の存在意義、「オフィスとは どのような場所なのか」、宮内様、廣居様のお考えをお聞かせください。

宮内様:
来ると安心する場所。
誰かと会うことができる場所。
もちろんテレワークでもできる業務はたくさんありますが、やはりコミュニケーションは大切なので、来ると仲間がそこにいて、会話が生まれて、そこから新しいアイディアや、自分への気づきが発生する、何かを生み出せる場所だと思います。

廣居様:
正直に申し上げると、以前は仕事をしに来る物理的な場所でした。 コロナ禍で環境とオフィスの在り方が変わってきており、単純に働くだけの場所ではなくなってきていると思っています。 テレワークでは出来ない業務をする場でもありますが、人と会って何かを考えるきっかけになる場所、対面でのコミュニケーションを通して仕事や、職場内外の関係性等を創造・発展させていく場所だと思います。

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宮内様、廣居様には貴重なお時間を割いてインタビューに対応いただきましたことに、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。


ここからは、宮内様、廣居様にお聞きしたお話とご提供いただいた資料を元に、リニューアルの全体像に ついてご紹介して参ります。


リニューアルプロジェクトの全体像

オリックス銀行のオフィスリニューアルプロジェクトとは?

「これからの働き方を考える」ことを目標に始まったのが、オリックス銀行のオフィスリニ ューアルプロジェクト。

コロナ禍と重なったこともあり、リニューアルを進めてよいのか躊躇もありましたが、コロナが収束したとしても今後の働き方・オフィスのあり方は変わっていくであろうという考えから、可変できるオフィス=「自由な働き方に柔軟に対応する可変的で多様な働く場」と 判断され、プロジェクトを開始されたそうです。

社内から有志メンバーを募り、8名のプロジェクトチームを結成。総務人事部の宮内様、廣居様が事務局としてプロジェクトをサポートしながら、1年間かけてリニューアルを実施。 経営層が推進したい「サステナブル」「新しいことへのチャレンジ」「モチベーション向上」 といったキーワードをプロジェクトメンバーと共に理解するところから始めていったものの「サステナブルなオフィス」はどのように具現化していったら良いのだろうか?といった問いを、対話を重ねて探っていくのが大変だったとのことです。

単にオフィスのレイアウトを変更するということではなく、経営層のメッセージや自分達 のありたい姿を「どのようなシーンなら実現できるのか」「どういう働き方だったら実現で きるのか」とブレイクダウンしながら、社員自らが主体的に考えてもらえるようプロジェク ト全体を推進し、リニューアルのコンセプトを固めていきました。


コンセプトが決まってからも、オフィス全体のレイアウトやデザインを何度も何度も調整。 男性と女性で色合いや雰囲気に受け止め方の差が大きかったが、期限を念頭に、意見を取り入れながらも判断するべきところは決断して進めていきました。

本を置くこと自体はあらかじめプロジェクトメンバーと話し合っていましたが、工事工程や家具選定との兼ね合いで「最終的には書店で買ってくればなんとかなる」と考えていました。しかし、選書サービスによって書棚に並べられた本を見て、これだけの種類はとても揃えられなかったと感じられたそうです。


オリックス銀行のラウンジに入れる本を選書する際のこだわりポイント

青山ブックセンターが選書した際のポイント

書籍設置の目的である「自己啓発・自己研鑽」と「リフレッシュ」というキーワード、 そして事前ヒアリングでご提示いただいた下記キーワードを手がかりとしました。

  • 経営層の思いを共有できるような教養本
  • 既定路線から思考を拡げるための思考力を鍛える本
  • 話題になっているベストセラー
  • リラックス・リフレッシュ要素の高い、料理本やペットの本
  • 地方拠点(福岡・大阪・名古屋)に関連した旅行ガイド

教養本やイノベーティブな思考を養う本、インテリアやガーデニングといったライフスタイルのヒントにもなり表紙イメージが美しいものについては、青山ブックセンターのロングセラーリストの中から選定、ベストセラーについては売れ筋ランキングや話題になっているものからピックアップ。

毎月新しい号が入れ替わっていく雑誌については、ビジネス情報だけではなく、ファッション誌、旅行雑誌、食べ歩き情報誌、ゴルフなどスポーツ関連も交えてとっつきやすい柔らかな印象を醸成するように心がけました。


オリックス銀行独自のブックラウンジ活用方法

ブックラウンジの独自の活用方法として、「本の貸し出し」を実施。自己研鑽のためのビジネス書やベストセラー書は業務時間内で読み切ることが難しいことから、「家でじっくり読んで考察してもらう糧にしてもらいたい」という思いで社内運用を開始しています。

ベストセラーを手に取っている社員が多く、書店に並んでいる本がここで読めることが福利厚生としてメリットを感じてもらっている様子です。廣居様ご自身も買おうと思っていた本があり読みたいなと思っているそうです。貸出期間は2週間とし、状況を見ながら「こんな本を置いてほしい」という社員のリクエストに対応していきたいとのことです。


オリックス銀行が目指す働き方とは?

業務によって割合は異なりますが、現在平均して3割程度のテレワーク割合を5割程度まで高めつつ、ウェブMTGだからこのフロアに行く、ちょっと集中したいからここに行く、といった業務内容や気分に合わせて自由に働く場所や時間を選択するABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング:業務内容に応じて最適な場所で働くスタイル)の働き方を目指しています。今後、そのような働き方を更に推奨していきたいと考えています。(宮内様のご回答より)


最後に

リニューアル前の執務エリアは、固定席の端に管理職の席があるという一般的なオフィス配置で、休憩スペースは黙々と食事をするような場所だったそうです。
対してリニューアル後には、社員が「どこで」「どのような時間配分で働くのか」を主体的に選べるように変化していきました。困難な状況下、限られた時間の中で「これからの働き方」そのものをプロジェクトチームと共に創りあげていった宮内様、廣居様のご苦労は並大抵のものではなかったことでしょう。

カフェコーナーや本棚があることで「その場所に立ち寄りたくなるような」空間となり、別フロアや別棟からの利用を促し、普段は顔を合わせない社員様同士の雑談が発生するようになったというお話が大変印象的でした。


リニューアル時に採用された設備の事例

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カフェラウンジ
コーヒーマシン、自動販売機が用意された、社員がリフレッシュできる憩いのスペース。ソファーや一人掛けの椅子など様々なタイプの椅子を用意しているので、他の社員とコミュニケーションも取りやすい。 ラウンジの一角には、ライブラリーが設置されているので、新しい考えや知識を深めることもできる。

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スタジオ
大型のスクリーンが用意された、プレゼンテーションやTV会議もできる広々としたスペース。什器は折りたたんで収納できるテーブルやスタッキングできるチェアなどを配置しているので、スペースを自由に使うことができる。

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フロアカフェ
各階にある、リフレッシュ・休憩ができるスペース。カウンター天板やルーバー、棚板にはサステナブルな材料である国産の杉材を使用し、リラックスした空間を演出。


■企業様データ

オリックス銀行株式会社
所在地:東京都港区芝 3-22-8 オリックス乾ビル
乾ビル内執務エリア:4フロア+受付・応接フロア
乾ビル在籍従業員:約438名(2022年5月現在)
ホームぺージ:https://www.orixbank.co.jp/