【11/ 2 (土)】ジョー・サッコ『ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA』(Type Slowly)刊行記念
早尾貴紀×藤田進「ガザの虐殺と民衆史ーー過去を発掘し未来へとつなげる」
申込みの前に必ず参加規約をお読み下さい。
お申し込みはこちら
日程 | 2024年11月2日 (土) |
時間 |
17:30〜19:00 開場 17:00〜 |
料金 | 1,650円(税込) |
定員 | 100名 |
会場 | 本店 大教室 |
アメリカのコミック・ジャーナリスト、ジョー・サッコ『ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA』(早尾貴紀 訳)の刊行を記念してトークイベントを開催します。
1956年にパレスチナのガザの2つの街、ハーンユ-ニスとラファハで起きたイスラエル軍によるパレスチナ人への大量虐殺事件に着目した著者が、当時も今もほとんど報道されることなく歴史の「欄外」へ追いやられそうな事件を丁寧な取材と迫力ある筆力でで浮かび上がらせる。現在ガザで起きている凄惨な出来事は、この歴史と地続きである。
本書の翻訳・解説を担当したパレスチナ/イスラエル研究の早尾貴紀さんと、『蘇るパレスチナ 語りはじめた難民たちの証言』などの著書があるアラブ近現代史の専門家、藤田進さんに、おふたりのパレスチナ滞在・取材時の現地の人々の声を紹介しつつ、大きな歴史の中での現在のガザの状況、なぜ歴史は繰り返すのか、ガザの過去と現在、そして未来について語っていただきます。
プロフィール
早尾貴紀(はやお・たかのり)
1973年生まれ、東京経済大学教員。パレスチナ/イスラエル研究、社会思想史研究。ヘブライ大学客員研究員として2002-04年(第二次インティファーダ期)に東エルサレム在住、その間に西岸地区、ガザ地区、イスラエル国内でフィールドワーク。著書に『パレスチナ/イスラエル論』、『ユダヤとイスラエルのあいだ』など、訳書に『パレスチナの民族浄化』イラン・パペ(田浪亜央江との共訳)、『ホロコーストからガザへ』『なぜガザなのか』サラ・ロイ(岡真理、小田切拓との共訳)などがある。
藤田進(ふじた・すすむ)
1944年、ハルピン生まれ。専攻はアラブ近現代史。69年、東京外国語大学アラビア語学科卒業。東京外国語大学名誉教授。著書に『蘇るパレスチナ 語りはじめた難民たちの証言』など。アル・アリー・ナージーによる風刺漫画『パレスチナに生まれて』の監修も務める。
書籍情報
『ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA』(ジョー・サッコ 著 早尾貴紀 訳 Type Slowly 刊)
定価(本体2300円+税)
ガザ地区のある人が私に言ったように、「事件が立て続けに起きている」。パレスチナ人には、ひとつの悲劇を消化する余裕などないうちに、その次の悲劇が襲ってきているようだ。私がガザ地区にいた頃、1956年の出来事に関する私の研究を、若い人たちはしばしば訝しげに見ていた。まさにいま自分たちが攻撃され、家が取り壊されようとしているのに、歴史にこだわることが何の役に立つというのか。しかし、過去と現在をそう簡単に切り離すことはできない。過去と現在は、残酷なまでに連続体をなす一部であり、歴史における曖昧な領域なのだ。おそらく私たちは、こうした脈打つ前進運動を凍結させて、ひとつかふたつ事件を検証するのが大事だと思う。というのも、そうした事件を生き抜いた人びとにとって災難であっただけでなく、憎悪が彼らの心に「植えつけられた」理由と方法を理解したい人びとにとっても有益だからである。
(「はじめに」より)
[著者プロフィール]
ジョー・サッコ
1960年、マルタ島生まれ。コミック・ジャーナリスト。戦争ルポルタージュ漫画の作家、芸術家として広く認められており、「ディテールズ」、「ニューヨーク・タイムズ」、「タイム」、「ハーパー」など各誌に漫画によるリポートを発表してきた。著作は14か国語に翻訳されている。1991年から92年にかけて現地を取材して刊行したコミック『パレスチナ(Palestine)』[日本語訳は小野耕世訳、2007年/特別増補版、2023年]はアメリカン・ブック賞を受賞し、ボスニア紛争をテーマにした『安全地帯ゴラジュデ(Safe Area Goražde)』[未邦訳]はアイズナー賞を受賞した。また同書は2000年に「ニューヨーク・タイムズ」の注目書籍、「タイム」誌のベスト・コミックに挙げられた。2009年に刊行された本書『FOOTNOTES IN GAZA』はアイズナー賞ほか、アングレーム国際漫画祭・世界観賞、ライデンアワー・ブック賞、オレゴン・ブック賞などを受賞。2023年、マルタ大学より文学博士号を授与された。現在、オレゴン州ポートランド在住。