髙田唯 ori.studio『AXIS』
出版 : da大 in print
空間を横断する磁力線のように、私たちを取り巻く様々な要素を内側に引き寄せ、一つの軌道に結集して回転させ始めるグラフィックデザイナー高田唯の作品は、私たちに新しい世界観をもたらします。身の回りのありふれた風景や物から抽出されたこれらの要素は、それ自体の本質とは全く矛盾するような状態にまで高められると同時に、その本質を維持するだけでなく賞賛するような率直な方法で表現されます。高田は、変化をもたらす台風のようなエネルギーを駆使して、私たちに「気づき」を与えてくれるのです。
分解された作品、ゴミ箱や木の皮、禁煙サイン、新聞の切り抜きなど、日常生活の中で収集・記録された環境的・文脈的要素、そして様々な実験的プロジェクトなどの471個の断片で構成される本書は、高田がつくり出した「軸」を体現しています。そこでは、論理を整然と当てはめるのではなく、混沌を受け入れ、愛し、活用することによって秩序が生まれ、全く新しい形の存在として立ち現れます。それは一見バラバラな素材が層状に重なり合い、物理的に、そして混沌から生まれた秩序によって結合されたオブジェクトであり、常に流動的に変化する輪郭を持ち、人それぞれの視点によって変化するものを、客観的に見る機会を与えてくれるものなのです。
澤田育久(写真家) 、蓮沼執太(音楽家)によるエッセイは、高田と接点はないものの自身の実践が「軸」という概念と密接に結びついている人たちの視点を伝えています。また、高田と長年の交流を持つデザイナーの中垣信夫、原研哉、服部一成との対話では、高田の仕事、姿勢、手法などについて三者三様の印象が語られます。(出版社より)